ウェブメディアのキーマン集合。2015年「メディア忘年会」レポート

 ウェブメディアにとって大きな変化が続いた2015年が終わります。12月中旬、恵比寿のDMM.comで「メディア忘年会」が開かれました。メディア運営のキーマン8人が1年を振り返り、来年を展望する様子に参加者は興味津々。100人が交流を深めつつ、さらなるメディア発展へ気勢を上げました。イベントをレポートします。

編集者に大切なのは読者のニーズを想像すること

再送 仁田坂さん
 トップバッターは日刊キャリアトレック編集長を務める弊社代表取締役編集長の仁田坂淳史と、今回イベントを主催したDMM.com Laboのウェブディレクター堀彩さん。失敗談とウェブ編集者に求められる資質について語りました。

対談メモ
 2人は「良いウェブコンテンツは十分な睡眠を取らないと作れない」と口をそろえます。雑誌編集者時代はともに締め切りのために何度も徹夜したそうです。ただウェブ編集者として活動する今は「寝ずに根性だけでやっても成功する世界じゃない」(仁田坂)「寝ずに作業したほうがいいコンテンツができると思いがちだがそれは違う」(堀さん)と強調していました。

 その上で仁田坂は「編集者は読み手のニーズを常に想像するべき」と説きました。雑誌時代に先輩から飲み物のおつかいを頼まれスターバックスのラテを買ったところ「俺が今飲みたいのはベンティ・ツーショット・キャラメル・フラペチーノだ」と怒られたエピソードを紹介。先輩が飲みたいものを想像できなかった失敗談をもとに「読者が何を読みたいかを知ることはできない。ニーズは想像するしかないことを先輩から学んだ」と振り返りました。

調整後堀さん
 堀さんは10月にローンチしたDMMのオウンドメディア「g2g」のPVが伸びないことに悩んでおり「コンテンツを充実させることよりも先にSEOを優先してしまった」と反省している様子。それでも「現状を嘆くよりもどう改善するかを考え続けるべき」と前を見据えます。

 編集者は「人情の機微をよく理解すること」を意味する「粋」を持つ必要があると堀さんは指摘。読み手に対する気遣いを編集者に求めていました。

g2gは10月ローンチのイベントメディア

G2gスクリーンショット

 今回の忘年会を運営したDMM.comのみなさんは10月にイベントメディア「g2g」をローンチしました。記事でエンタメ情報を紹介しつつイベントへの誘導を促しています。g2gは2016年5月時点までに月間100万PV超えを目指しているとのこと。弊社のサイトもg2gに負けないようともに競い合い成長していきたいですね。

「人を傷つけずに心から笑える」のが面白いコンテンツ

 
LIGさんロケットさん
 続いてLIGでオウンドメディア立ち上げ・運用を支援する「EDIMO」のチームリーダー・渋谷匡志さんとロケットニュース24メディア事業部マネージャーの瓦野晋治さんが登壇。「今年一番面白かったコンテンツ」と「面白いコンテンツとは何か」をテーマに論じました。

 渋谷さんは今年一番面白かったメディアにomocoroのPR記事市長って本当にシムシティが上手いの? 千葉市長とガチンコ勝負してみたを挙げ、市長とゲームで対戦する企画の斬新さを賞賛。「いやな気持ちになることなく、心から笑えるものが面白いコンテンツ」と持論を展開しました。

 ロケットニュースの瓦野さんは今年のベスト記事に自社の「【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(前編)(中編)(後編)【大バカ野郎】iPhone6sを世界一早くゲットしようと徹夜で行列していた男が「違う店に並んでいた」ことが判明をピックアップ。面白いコンテンツに必要なものとして①気になって思わず聞いてしまう②最後まで見てしまう③何かを奪って何かを残していくーを挙げました。

TABILABOは「転校生のような1年」、KADOKAWAはウェブが好調

photo2 KADOKAWAマガジンブランド局プロデューサー森田岳さんとTABI LABOマーケティング・ディレクターの石川譲さんは2015年のメディア業界を振り返りつつ、5年後を展望しました。

 石川さんはTABI LABOの2015年を「自分たちの伝えたいことが伝わらず苦労した。まるで転校生のような気分だった」と振り返ります。今年はコンテンツの配信先企業をくまなく訪問するなどTABI LABOのイメージ向上に努めたそう。

川﨑宗則 今後のTABILABOの理想像として日本のプロ野球からメジャーリーグに移籍、異国の環境に適応しながらプレーする川崎宗則選手をピックアップ。「TABI LABOも常に変化を続け人の心に残るコンテンツを残したい」と誓っていました。

 森田さんはKADOKAWAについて「雑誌媒体が苦戦している一方で『ウォーカープラス』の月刊PVは1億9000万PVを超えた」とウェブ媒体が健闘していることに胸を張ります。5年後について「既存、新興問わずメディアの統合が進み、5年後にすべて収束している」と予測しました。

立ち上げ時、ログミーは「5万字の編集」KAI-YOUは「記事の統一性」に苦労

 最後に登場したのは全文書き起こしメディアログミーCEOの川原崎晋裕さんとポップポータルメディアKAI-YOUCEOの米村智水さん。「メディア立ち上げのきっかけ」をテーマに対談しました。

再送川原崎さん
 川原崎さんは「イベント音声は2時間で5万字になる。それを文字に起こすだけでは読みづらくて直すのにとても苦労した」とログミー立ち上げ時の苦労を語りました。今でこそ1日20本の記事をアップしているそうですが、立ち上げ当時は「1週間で1本記事を完成させるのが精一杯だった」といいます。今後のウェブメディアについて「PVの価値が減っている中、ちゃんと編集しているメディアが生き残っている。これからのメディアは今までよりも面白くなっていくのでは」と展望しました。
 再送KAI YOU米村さん
 米村さんは「KAI-YOUの立ち上げそのものは容易だった」といいます。ただ、アニメ、芸能、社会現象などカルチャーで扱う記事群が幅広い中、記事の統一感を保つのが難しかったと振り返ります。ウェブメディアを「名前も覚えられないまま消えていくメディアがたくさんある。長く続けていくのが難しいのビジネスモデル」ととらえ、今後は「ユーザーを巻き込みメディア編集に関与してくれるような仕組みをつくりたい」と意気込んでいました。

まとめ

 メディア対談終了後、参加者は料理に舌つづみを打ちつつ名刺交換し交流を深めました。今回集ったメディアは規模も歴史もさまざまでしたが、2016年もメディアをよりよくしていこうという気持ちは一緒。力を合わせてメディアをよりよいものにしていきたいですね。運営したDMM.comのみなさんお疲れ様でした。