出版不況でも好調!まだまだあった人気コンテンツ【2015年版】

こんにちは。とんちんです。

「出版不況」や「活字(本)離れ」なんてくら〜い話題しか聞かなくて、活字中毒者には世知辛い世の中。いやーほんとイヤになっちゃいます。このまま出版業界は息絶えて、紙の本はなくなってしまうのでしょうか?いやいや、まだ人気のジャンル・コンテンツはあるはず!世の活字好きの不安をなくすためにも調べてみました。

出版不況下でも人気のコンテンツがある

編集者のキャリアを考える〜この先も生き残るには?で少し触れましたが、出版業界をとり巻く環境はとても厳しいといわれます。しかし調べていくと伸びているジャンル・コンテンツを発見!今回は長年出版界の動きを追う出版ニュース社『出版年鑑』から、アツい雑誌・書籍を紹介します(以下のデータも同書に基づいています)。

雑誌

 雑誌は特に深刻です。インターネットの速報性に太刀打ちできず、刷っても6割しか売れない状況(返本率39.9%)。販売収入や広告収入が落ち込み、2007年から雑誌休刊数が創刊数を上回るありさまです。「出版不況は雑誌不況だ」といわれるほど。そんな逆境でも売上を伸ばすコンテンツ、それが30代以上向けファッション誌ハイクオリティの情報誌です。

男性中高年ファッション誌は発行部数20%増も

 10代〜20代向け雑誌が低迷する一方で、中高年向けは好調です。特に『Safari』の躍進がスゴイ。LA(アメリカ西海岸)にフォーカスしたのがウケたのか、発行部数も2012年から5.5万部増えておりSafariLoungeでは限定アイテムも販売しています。

Safarilounge

イタリアのモテオヤジ『LEON』やメンズノンノの兄弟誌『UOMO』、おしゃれなパパ向けの『OCEANS』も発行部数を伸ばしています。
 これから注目を浴びそうなのは50〜60代の富裕層向け雑誌『MADURO(マデュロ)』。やんちゃなジジイ=やんジーをテーマに、上質なオトナの着こなし・小物を紹介しています。2014年創刊。

Maduro

Yanjee

「やんジー」ってネーミングが最高!と思っていたら、編集長は『LEON』を創刊された岸田一郎さん。「ちょいワルオヤジ」といい、天才的なセンスだなぁ……

人気女性誌は「意識高いワタシ」から等身大の自分へシフト

 女性ファッション誌も男性誌と同じくアラサー〜50代向けが人気です。赤文字雑誌『JJ』はターゲットを20代前半女子大生から25歳OLにシフトしてから持ち直しました。
Jj
 また働く女性向けの『CLASSY.』もキャリアウーマン路線から「品のいいカジュアルファッション」に変更して前年比13.6%増の21.4万部に。モテカワ♡でもバリキャリでもない、背伸びしないカジュアルファッションが女性たちに評価されています。
Classyonline

料理情報誌「dancyu」は人気続く

 特に苦しいのが情報誌。インターネットの速報性に勝てず休刊をせまられる雑誌が多いなか、奮闘しているのが料理情報誌の『dancyu』。料理店やレシピ、食材案内の旅など幅広い視点から「料理」をとらえた雑誌です。情報量や紙面のていねいな作りこみが人気を博し、前年比12.4%増の11.9万部と大きく部数を伸ばしました。
Dancyu com

雑誌で掲載された厳選食材のECサイト「dancyu.com」

※部数は日本雑誌協会の印刷証明付き部数による

書籍

 雑誌ほどの落ち込みはないものの、毎年縮小を続ける書籍市場。さまざまなメディアのよさを生かしてプロモーションを展開するメディアミックスや、読者ニーズが多い中高年向け書籍が人気です。

文芸・コミックはメディアミックスが勝ちパターン

 マンガや小説をアニメ・ドラマ化させたメディアミックスが好調です。代表的なのは池井戸潤『オレたちバブル入行組』。

オレたちバブル入行組
池井戸 潤
文藝春秋
売り上げランキング: 147,275

 ごぞんじ「倍返しだ!」で一世を風靡したドラマ『半沢直樹』の原作です。初版は2004年ですが、2013年のドラマ放映から人気沸騰。「オレバブシリーズ」と呼ばれていましたが、ドラマの放映を機に「半沢直樹シリーズ」と呼ばれるようになったほど。シリーズ4作目の『銀翼のイカロス』が2014年に発行されています。

 コミックでは諫山創『進撃の巨人』でしょうか。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
諫山 創
講談社
売り上げランキング: 5,953

 2011年に「このマンガがすごい! オトコ編」にノミネートされてからじわじわと人気を集めていましたが、2013年のアニメ化で知名度を上げて2015年7月にはハリウッド映画にもなっています。渋谷のモニタージャックなどネット上でも話題に。

読者数が多い「健康・長寿」の実用書は強い

 実用書は健康志向の強い中高年層向けがヒット。槙考子・鬼木豊『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』は、2014年で唯一のミリオンセラー本になりました。

「長生きしたけりゃ」というキャッチーなタイトルが印象的な同書。同様に『医者に殺されない47の心得』『長友佑都 体幹トレーニング20』などのタイトルも人気です。
 同じくシニアをターゲットにしたレシピ本も好調。『これなら作れるシニアの1人分ごはん』などがヒットしています。

これなら作れる シニアの1人分ごはん
村上祥子
家の光協会
売り上げランキング: 255,111

電子書籍は?→やっぱり伸びている

 電子書籍市場は2012年の729億円から、2014年には936億円に拡大中。ブックリーダーへの参入はもちろん、タブレットやスマホの普及が大きいようです。特に注目したいのがその内訳。77.3%(610億円)をコミックが占めていて、つづく21.5%(170億円)が文芸・実用書、残りの1%が写真集なのです。
 こうした流れを受けて、コミックは紙と電子版の両方を刊行する出版社が増えてきました。講談社・集英社ともにコミック誌のオンライン配信をスタート。『ジャンプ』ではオンラインでしか読めない作品を集めた『ジャンププラス』、『モーニング』ではバックナンバーが読める『週刊Dモーニング』など各社工夫をこらしています。

Jplus

Dmorning

結論・出版業界はまだ死なず?

 人気コンテンツを見ていくと、パッケージングの完成度の高さや情報量など雑誌ならではの良さが生かされているように感じます。紙の本に魅力を感じる人がいるから雑誌の部数が伸びているので、すぐに紙の本がなくなるわけではなさそう。
 そもそも現代人は「活字に抵抗がある」のでしょうか?そんなことはありません。ソーシャルゲームやLINE、メールではむしろ活字に触れる機会が増えています。そう考えると、出版社のライバルは同業他社でなくてスマホアプリやコンテンツなのかもしれません。