敷居が高い、つつましい暮らし…日本語の正しい使い方知ってる?慣用句の意味・用法27連発

とんちんです。
先日退職エントリを公開してからというもの、初めて会う方からもおっぱい揉まれた人扱いを受けてちょっと恥ずかしいです。

私は運良くいや〜ん♡なことは避けられましたが、文章は自分の知識が丸裸になります。日本語には知らずに使うと恥ずかしい表現がたくさん。今回は時事通信社の『最新 用字用語ブック』から、間違いやすい表現をピックアップしてお届けします。

ついつい使いそうになる、間違えやすい表現

 語句の正しい意味、解説・正しい使用例の順で紹介します。

×敷居が高い→○ハードルが高い

敷居が高い(慣用句):相手への不義理があって、その家に行きにくいこと

「高級すぎて、気が引ける」という意味で使うのは間違い。自分にふさわしくない、と表現したいなら不相応ハードルが高いなどを使いたいところ。

×人質を釈放→○人質を解放

釈放(名詞):受刑者、被疑者、被告人が刑事施設から解放されること

 釈放されるのは罪を犯した(またはその疑いがある)人。人質などの被害者には解放を使いましょう。

×やおら飛び出した→○急に飛び出した

やおら(副詞):静かに、ゆっくり

 つい口をついて出そうになりますが、やおらは「急に」とは正反対の意味ですので要注意。

×Yシャツ→○ワイシャツ

ワイシャツ(名詞):台襟・カフスがついたホワイトシャツ

 ワイシャツはホワイトシャツの発音がなまって(転訛して)できた言葉。Yシャツはただの当て字です。Gパンも同じくジーパン(ジーンズパンツの略)だから間違い。でもTシャツはT字形シャツの略なのでOK。ふしぎ。

×法案が成立→○法が成立

法案(名詞):法律の案文

 法律が可決・成立するまでは法案という語を使いますので法案が成立したという状態はありません。法律が成立した後は「○○法が可決、成立した」というように使います。改正法案という使い方も間違いです。

△つつましい暮らし→○つましい暮らし

つつましい(形容詞):動作や態度が控えめで、遠慮深いようす

 質素倹約、ぜいたくでない暮らしはつましい(倹しい)です。一方、つつましいは慎ましい。控えめに暮らすという意味なら「つつましい暮らし」でもOK。

×ジンクスにすがる→○ジンクスを破る

ジンクス(名詞):縁起が悪いもの

 ジンクスは縁起が悪くけちがつくもの、破るべきものです。幸せになりたいときはゲンを担ぐを使いましょう。

×感動で鳥肌が立つ→○恐ろしさのあまり鳥肌が立つ

鳥肌が立つ(慣用句):恐ろしさや寒さのために皮膚がざらつく状態

「感動で鳥肌が立つ」。すでに市民権を得ていますが、厳密には間違った表現。感動で震えるなどに言い換えるのが良いでしょう。

×ビニール袋→○ポリ袋

ポリ袋(名詞):ポリエチレンやポリプロピレンで作られた袋

 毎日のように目にするレジ袋やゴミ袋はビニール製じゃありません。事件現場や建築現場で見かけるブルーのシートもビニールシートとは呼ばないので注意。

よく見かける誤った重複表現

 普段使っているその言葉、よく見ると意味が重複しているかもしれません。 

×およそ1時間ほど→○およそ1時間、1時間ほど

 1時間ほどやおよそ1時間、もしくは約1時間が正解。ほどにもおおよそ、ある程度の広がりという意味があるから、言葉がかぶってしまうんですね。

×隔週おき→○隔週、一週間おき

 隔という言葉自体にへだたり、間にものをおく意味が含まれています。間をおくが重複するので隔週もしくは一週間おきが良いです。

×加工を加える→○加工を施す

 加工は人手を加えること。加工を施すが正解です。

×過半数を超える→○過半数に達する

 過半数という一単語で半数を超えているの意。正しい表現は「過半数に達する」。

×違和感を感じる→○違和感を覚える

 口語で使う方も多いこの言葉。文章では違和感を覚えるまたは違和感があるを使うのがベターです。

×満10周年→○満10年、10周年

 満は年が満ちた、周年は年が周った。どちらも同じ意味ですので「満10年」もしくは「10周年」と表記しましょう。

×射程距離に入る→○射程圏内に入る

 程とは距離のこと。「射程」一語で弾の届く距離という意味です。射程圏内に入るならOK。

×従来から(より)→○従来

 従来は以前から、という意味。「から」も起点を表す語ですので「従来」一語で使いましょう。

×ただ今の現状→○ただ今、現状

 ただ今と現状、どちらも今という同じ意味の言葉。一語で使わないようにしましょう。

×排気ガス→○排ガス

 こちらもリズムが良くてついつい使いそうになりますが間違い。正しくは排ガス。

×布陣を敷く→○布陣、陣を敷く

 布陣すなわち陣を構える陣を敷くこと。重複表現です。

×無尽蔵に使う→○無尽蔵

 無尽蔵はいくらモノを取ってもなくならない・尽きることがない様子のこと。ですので「無尽蔵に使う」は誤用。

×毎日曜日ごとに→○毎日曜日、日曜日ごとに

 ごとをトジる(漢字にする)と毎。毎が2回続く重複表現です。

×みぞれ交じりの雨・雪→○みぞれ交じり

 雪と雨が交じって降る現象がみぞれ。「みぞれ交じり」は話し言葉ならセーフですが、文章では避けたいところ。「みぞれ交じりの雨・雪」は文章としてアウトです。

コラム・交じる?それとも混じる?

 どちらも読みは「まじる」ですが使う場面は異なります。黒髪と白髪がはっきり区別できる「白髪交じり」のように、元のものが判別できるときは交じる、一体化していて判別できないのが混じる、です。

×楽観視する→○楽観であると見る

 口語ではよく使われますが、楽観は一語でものごとを明るい方向で見るという意味を持ちます。「楽観であると見る」にとどめておくと無難。

使うシチュエーションに注意したい表現

かしこを使えるのは女性だけ

かしこ(形容詞「かしこい」の語幹):女性が手紙の終わりに添える言葉

 手紙の結びの言葉として使われるかしこは、書き手が女性の場合のみ使える表現。ですが男性ライターの記名記事でこの言葉が使われているのを見たことがあります。『土佐日記』か。

実力に対して役目が軽すぎるから役不足

役不足(名詞):実力・力量に対して、役目が軽すぎること

「有能な彼には、そのポストでは役不足だ」というように与えられた役目<実力の意味。自分の実力に釣り合わない重さのときは荷が重い力不足を使いましょう。

よりとからでは起点が違う

  • より(格助詞)動作・作用の起点を示す
  • から(格助詞)時や場所の起点を示す

「恩師より手紙が届いた」のように、よりの管轄は動作や作用。場所や時の起点としては使えないので気をつけましょう。たとえば「東京より行く」は間違った用法です。

おわりに

 日頃よく見る・使われる、間違った言葉を中心に挙げてみました。ATOKに何度も「その表現は間違いだよ!」と指摘され、記事を書き上げるまで罪悪感に駆られました。自信がない方はこうした文字入力ソフトを使うのも手です。
 話し言葉と違い、文章は多くの人の目に触れて残るもの。だからこそ細やかな部分まで気を配りたいところですね。