オウンドメディアが取り組むべきユーザーファーストなSEOとは

ZINEで編集者をやっている市川円です。

SEOコンテンツの制作に携わる人であれば、一度はユーザーファーストなSEOの重要性について耳にしたことがあるかもしれません。

しかしオウンドメディアのコンテンツ制作に関わっていると、ユーザーファーストを心掛ける目的や必要性を理解している人は意外と少ないように感じます。

そこで今回は、オウンドメディアにユーザーファーストなSEOが求められる理由を紐解きながら、実際にユーザーファーストなSEOを実現していくための実践方法について解説していきたいと思います。

なぜユーザーファーストなSEOが必要なのか

ユーザーファーストとは文字通りユーザー第一主義のことであり、利用者の利益や満足度を最優先する考えを指します。ではなぜSEOコンテンツの制作においてユーザーファーストが必要だと言われるのでしょうか。

それは検索エンジン最大手のGoogleがユーザーファーストを目指しているからです。この思想についてGoogleは、会社理念であるGoogleの掲げる10の事実の中で、「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」と断言しました。

Googleがここまで断言する理由はひとえに、検索エンジンのビジネスモデルがユーザーファーストを前提として作られているためです。

検索エンジンは広告収益によって成り立つビジネスですから、収益増加のためには広告媒体としての価値を高める必要があります。検索エンジンの広告媒体としての価値は、検索ユーザー数によって決まるので利用者のニーズを満たす検索結果を表示し続けなければいけません。

その上でGoogleは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」という使命を掲げ、世界中の人=全人類という途方もないユーザーに日々向き合っています。

Googleは全人類にとって最適な検索結果を表示するため、日常的に検索アルゴリズムを改善。年に数回はコアアップデートと呼ばれる大型アップデートも実施しています。

コアアップデートとは

Googleで年に数回行われている検索アルゴリズムの大型アップデート。コアアルゴリズムアップデートとも呼ばれる。

Googleが提供するウェブマスター向け公式ブログによると、コアアップデートは「関連性が高く権威あるコンテンツを検索ユーザーに提供するというGoogleの使命を果たすため」に行われており、これを「映画のランキング更新」に例えています。

つまり2015年に作成した映画のリストを2019年に更新すれば、新作と旧作が入り乱れて順位が大きく入れ替わるのは当然であり、コアアップデートで行う変更とはそのようなものだ、ということです。

ですから本来であればアルゴリズムアップデートに一喜一憂する必要はありません。アップデートはあくまでユーザーニーズに応えるためのものであり、日頃からユーザーファーストなコンテンツ作りを心がけていれば何も問題はないのです。

「その時点でのユーザーファースト」と「徹底的なユーザーファースト」の狭間

ところが実際には、SEOコンテンツの制作に携わる多くの人がアルゴリズムアップデートによる順位変動に一喜一憂しています。

Googleが広告媒体としての価値を高めれば高めるほど上位表示による広告効果も高まりますので、コンテンツ制作サイドがアルゴリズムの変化を気にするのは自然な成り行きです。

しかしGoogleのアルゴリズムは「その時点でのユーザーファースト」を示しているに過ぎず、これを後追いしても「最新のユーザーファースト」を実現することはできません。

そうは言っても、SEOを行う目的は多くの場合「検索の上位表示を目指すこと」であり、上位表示ができず広告効果も期待できないのであればコストをかけてまでSEOコンテンツを作る意味はないと考える企業は少なくないでしょう。

前述したように「その時点でのユーザーファースト」を意識し過ぎたコンテンツは本質的でなく、一時的に上位表示が叶ったとしても次回のコアアップデートで大幅に下がることも珍しくありません。

仮に、アルゴリズムを優先して作られたコンテンツとGoogleが目指す「徹底的なユーザーファースト」を意識して作られたコンテンツ。この2つのコンテンツが存在していたとします。

広告効果を考えた場合、即効性があり具体的な数字に置き換えやすい前者に比べて、後者はいつどれほどの効果が表れるか未知数です。そのため両者を天秤にかけたとき、多くの人が前者を選ぶのは無理もないことであり、アルゴリズムアップデートに怯える元凶がそこにあります。

このように、ユーザーの評価よりもアルゴリズムの評価に重点を置く姿勢はユーザーファーストとは似て非なるものであり、いわば「アルゴリズムファースト」とでも呼ぶべき思想です。

ユーザーファーストと似て非なるアルゴリズムファースト

アルゴリズムファーストなSEOでは、Googleのアルゴリズムを最優先に考え、とにかく検索上位記事を参考にコンテンツを制作し、アルゴリズムのアップデートに伴って変動した順位を参考にまたコンテンツの見直しを行います。

もちろんユーザーファーストをもとに作られたものでも、コンテンツの品質を保つための最低限のメンテナンスは必要です。しかしアルゴリズムファーストでは、コンテンツの骨子や主義主張を作り替えることも良しとします。

アップデートのたびに主張が変わるメディアに、果たしてファンはつくでしょうか?

そもそもオウンドメディアの運用を開始した背景には、自社サイトの資産化、競合他社との差別化、広告費の節減、ファンの獲得、などいろいろな目的があったかと思います。

ところがアルゴリズムファーストなSEOに頼ると、そうした目的が果たせなくなるのです。

検索順位はコンテンツを評価する指標として頼りない

アルゴリズムファーストなSEOがおすすめできない理由としてもう一つ、そもそも検索順位はコンテンツを評価する指標として頼りないということが挙げられます。

前述の通りGoogleは日常的にアルゴリズムアップデートを行っており、この影響を受けて検索結果も日々変動しているのです。

例として、実際に確認できた検索順位の変動をご紹介します。

2020年5月6日時点で「母の日」というワードの検索結果を確認したところ、1位は漆器専門店のオウンドメディアが表示されました。コンテンツの内容は、厳選したおすすめギフト20選を紹介するものです。

ところが翌5月7日正午に確認したところ、5月6日時点で2位だった楽天市場の母の日ギフト特集ページが1位になっていました。こちらは母の日ギフトを網羅する特集ページで、前日まで1位だったコンテンツとは真逆のアプローチです。

もしアルゴリズムファーストに基づいて「母の日」という検索ワードを意識したコンテンツを制作した場合、5月6日には厳選ギフトを紹介するコンテンツを企画したでしょうし、5月7日には網羅性を重視した特集ページを企画したでしょう。

このようにアルゴリズムを優先すると、作るべきコンテンツの方向性が毎日変わってしまうので、アルゴリズムはあくまで参考程度に留め、ユーザーファーストなコンテンツ作りを心がけた方が良いでしょう。

ユーザーファーストか否かを判断する23の質問

ではユーザーファーストなコンテンツ作りが重要と分かったところで、今度はユーザーファーストなコンテンツ作りをするために覚えておきたいGoogleの23の質問について話していきたいと思います。

皆さんはGoogleがユーザーファーストか否かを判断する指標として、検索アルゴリズムの開発に利用している23の質問をご存知でしょうか?

具体的には下記の通り。自身の制作したコンテンツやサイトに対し、すべての質問に「YES」と答えることができれば、そのコンテンツは間違いなくユーザーファーストです。

1.記載されている情報は信頼できるものですか?
2.この記事は、その分野をよく知る専門家または熱心な人によって書かれたものですか?
3.類似のトピックを扱った重複コンテンツはありませんか?
4.クレジットカード情報を提供しても大丈夫ですか?
5.誤字脱字や文法ミス、事実上の誤りなどはありませんか?
6.ユーザーの興味関心を最優先に考えていますか?それとも検索順位を最優先に考えていますか?
7.独自の情報、独自のレポート、独自の調査、または独自の分析を提供していますか?
8.検索結果の他のページと比較して十分な価値のあるコンテンツですか?
9.コンテンツの品質管理は十分に行われていますか?
10.どちらか一方に偏らず、多面的な視点や言い分について説明していますか?
11.そのサイトはその分野について認められた権威ですか?
12.極端に大量生産されていたり、多くのライターに外注されていたり、大規模なネットワークに分散されていたりして、個々のページが目立たない状態になっていませんか?
13.記事は丁寧に編集されたものですか?それとも急いで雑に作られたものですか?
14.健康に関する分野であっても、その情報は信頼に値しますか?
15.そのサイトの名前が引用元として示されたとき、信頼できる情報源として認識されますか?
16.そのトピックについて、完全あるいは包括的な説明を提供していますか?
17.洞察に満ちた分析や、まだ明らかになっていない興味深い情報が含まれていますか?
18.ブックマークしたい、友達と共有したい、誰かに推薦したいと思えるページですか?
19.メインコンテンツの邪魔になる過剰な量の広告はありませんか?
20.雑誌・百科事典・本などでこの記事を見たいと思いますか?
21.短すぎて中身がないものになっていませんか?あるいは有益な詳細情報が欠けていませんか?
22.細部にまで細心の注意を払って作成されましたか?
23.そのページを見たユーザーが不満を言うことはありませんか?
引用:Google Webmaster Central Blog|高品質のサイトを構築するための詳細なガイダンス

質問文だけでは具体的な内容が想起しづらいものもありますので、それぞれの質問に対する考え方を続けて補足します。

記載されている情報は信頼できるものですか?

ここでの信頼性のある情報とは、たとえば匿名ブログで記載された情報をソースにした記事よりも、歴史ある学会の発表する論文をソースにした記事のほうが信頼ができる、といったニュアンスのものです。

もし情報のソースを明示していない場合は、情報源を明らかにすることを徹底しましょう。引用元の情報を信頼するかどうかはユーザーの判断によりますが、引用元を明記する姿勢そのものに一定の信頼が生まれます。

その分野をよく知る専門家によって書かれたものですか?

専門家といっても、必ずしも職業的な肩書きが求められるわけではありません。たとえば1冊の本を一般ユーザー向けに紹介する場合には、その本を読んだことがない書店員よりも、その本を読んだことのある一般人のほうが適切でしょう。

一方で、その本が新書市場においてどのような位置づけかを語るためには、たとえ本を読んだことがなかったとしても最新の販売動向を知る書店員のほうが適切かもしれません。

重要なことは、安易にプロフェッショナルを起用するのではなく、その記事でユーザーが求める専門性を満たす人物とはどのような人かを考えることです。

類似のトピックを扱った重複コンテンツはありませんか?

類似したコンテンツや重複したコンテンツがあると、ユーザーはどれに目を通せばいいか分かりません。検索ワードは若干異なるけれども扱っている情報は実質同じ、といったコンテンツはなるべくひとつにまとめましょう。

クレジットカード情報を提供しても大丈夫ですか?

これはサイトの安全性を確認するひとつの目安になります。セキュアな環境を提供できていないとユーザーが安心してコンテンツを楽しむことができませんので、安全性もとても重要な要素のひとつです。

httpをhttpsに移行するなど、最低限の安全制の提供を心がけましょう。

誤字脱字や文法ミス、事実誤認などはありませんか?

コンテンツの内容に誤りがあると、誤った情報を基にユーザーは行動してしまうかもしれません。事実誤認はもちろんですが、誤字脱字や文法の誤りもささいなミスと油断せず、ユーザーの時間をいたずらに奪わない配慮を心がけましょう。

ユーザーの興味関心を最優先に考えていますか?それとも検索順位を最優先に考えていますか?

これは質問の通りです。検索順位ではなく、ユーザーの興味関心を最優先に考えましょう。

独自の情報、独自のレポート、独自の調査、または独自の分析を提供していますか?

独自情報のないコンテンツは他の記事の焼き直しでしかなく、ユーザーにとって読む価値のない情報になってしまいます。自社ならではの情報を提供するか、もしそれが見つけられなければ新たに独自情報を収集できないか検討してみましょう。

検索結果の他のページと比較して十分な価値のあるコンテンツですか?

すでに検索上位に表示されているコンテンツと見比べたときに、まるで劣化版のような内容になってしまっていないでしょうか。

価値のないコンテンツは、ユーザーの時間を無駄に奪います。独自情報や独自の視点による分析を盛り込むなどして、価値を提供することを心がけましょう。

コンテンツの品質管理は十分に行われていますか?

コンテンツの品質管理はどのように行われているでしょうか。十分な品質管理とは、たとえば公開するコンテンツに対して複数人のチェックが必ず入るような状態を指します。

品質管理が行われていない場合、ユーザーにとって価値のないコンテンツを発信する可能性が高まります。コンテンツ制作者がノーチェックでそのまま公開することのないようくれぐれも気を付けましょう。

多面的な視点から説明していますか?

偏った説明は、ユーザーにとって有益とは言えません。たとえば商品紹介の場合、企業の都合ばかりを伝えるのではなくユーザー目線で気になるであろうポイントに対して言及できているでしょうか。

またユーザーと一括りにせず、性別の違いや年齢の違い、配偶者の有無や子どもの有無など、あらゆる属性に配慮されているかも注目すべきポイントです。

そのサイトはその分野について認められた権威ですか?

権威性のあるサイトの情報は、ユーザーにとって非常に頼りになります。権威性がある状態とは、「この分野の情報ならあのサイトが間違いない」という信用を得ている状態を言います。

権威性は一朝一夕で高められるものではありませんので、専門性や信頼性の高いコンテンツを発信することで信用を得ることを目指しましょう。

極端に大量生産されていたり、多くのライターに外注されていたり、大規模なネットワークに分散されていたりして、個々のページが目立たない状態になっていませんか?

一昔前のキュレーションメディア騒動に代表されるような、クラウドソーシングなどを濫用した極端な大量生産を行っていないでしょうか。管理者がすべてのコンテンツに目を通せているかどうかをひとつの目安として、誰も確認できていないコンテンツが配信されないよう注意しましょう。

記事は丁寧に編集されたものですか?それとも急いで雑に作られたものですか?

一つひとつのコンテンツは、丁寧に時間をかけて編集されたものでしょうか?急いで雑に作られたコンテンツは誤りも多くなります。

コンテンツ制作時に十分な時間をかけなかった結果、ユーザーが不要な時間を支払わなければならない、といったことのないように注意しましょう。

健康に関する分野であっても、その情報は信頼に値しますか?

身体的健康や精神的健康といった、人の生活に密接に関わるトピックの場合、情報の信頼性の重要度はより高くなります。健康に関する分野では誤情報が人命に関わりかねませんので、特に専門性や信頼性について慎重に取り扱いましょう。

そのサイトが引用元として示されたとき、信頼できる情報源として認識されますか?

この質問については、Wikipediaをイメージすると分かりやすいかもしれません。一般的な言葉の定義を調べるときに、Wikipediaや辞書に記載された情報を疑う人はあまりいないでしょう。

記載された情報をいちいち疑うまでもない信頼性の高さは、ユーザーにはとても頼りになります。

そのトピックについて、完全あるいは包括的な説明を提供していますか?

ユーザーにとって、近しい情報について他のページをいちいち見て回らなければならない状況は不便です。そのため、関連してユーザーが気にするであろう情報まで包括的に説明することを心がけましょう。

洞察に満ちた分析や、まだ明らかになっていない興味深い情報が含まれていますか?

「独自の情報、独自のレポート、独自の調査、または独自の分析を提供していますか?」の質問とよく似ていますが、こちらはより具体的な質問となっています。

独自性があることは重要ですが、独自性があればなんでもよいわけではありません。その分析が、ユーザーの興味関心に沿った本質的で興味深いものであるかどうかが重要です。

ブックマークしたい、友達と共有したい、誰かに推薦したいと思えるページですか?

この質問に関しては、コンテンツ制作後のチェックというよりも、どのようなコンテンツを作るべきかの指標として利用するとよいでしょう。

これまでに、ブックマークに登録して何度も読みたいと思った内容はどのようなものだったか、友達に伝えて共有したいと思った内容はどのようなものだったか、誰かに勧めたいと思った内容はどのようなものだったか、ぜひ考えてみましょう。

メインコンテンツの邪魔になる過剰な量の広告はありませんか?

これはコンテンツ単独の問題ではなく、サイト設計の問題です。コンテンツ内に広告が張り巡らされていないかチェックしましょう。

量だけでなく、タップする箇所に広告を配置していないか、スクロールのたびに広告が出現してしまっていないか、といった導線の確認も忘れないでください。

雑誌・百科事典・本などでこの記事を見たいと思いますか?

この質問は、記事の内容が実際に雑誌・百科事典・本になっているかどうかを尋ねているのではありません。それら媒体で見たいと思えるかどうか、それら媒体に掲載されていても違和感がないかどうか、というクオリティチェックのひとつとして考えましょう。

短すぎて中身がないものになっていませんか?あるいは有益な詳細情報が欠けていませんか?

包括的な内容を目指すあまりコンテンツ量が膨大になるのもユーザビリティを損ねますが、一方で内容が簡潔すぎて有益な情報が欠けてしまっては本末転倒です。中身のない記事になってしまわぬよう、有益な情報を盛り込むことを心がけましょう。

入れるべきか迷う情報があった場合にはまず盛り込み、後で見直した段階で要不要を改めて検討すると判断しやすいです。

細部まで細心の注意を払って制作しましたか?

細部まで細心の注意を払ってそのコンテンツを制作したかどうか、今一度確認しましょう。ありがちなのは、文章は丁寧に書いたけれど画像は適当に選んだといったケースや、原稿は全力で作ったものの入稿された状態を確認していないといったケースです。

そのほかにも、コンテンツの内容には細心の注意を払ったが、サイト内の導線や広告のことまで配慮していないといった可能性も考えられます。ユーザーが目にする全ての箇所に注意を払いましょう。

そのページを見たユーザーが不満を言うことはありませんか?

最後に、そのページを見たユーザーが何か不満を言うことはないだろうかと想像してみてください。不満を先読みして解消すれば自然とユーザーファーストなコンテンツができあがるはずです。

まとめ:これはユーザーファーストか?と疑い続ける姿勢が大切

以上、オウンドメディアが取り組むべきユーザーファーストなSEOについて解説しました。

「品質管理は十分か?」「丁寧に編集されたか?」「細心の注意を払ったか?」などの抽象的な表現が目立つことからも分かる通り、ユーザーファーストかどうかを判断するうえで「これさえ守れば大丈夫!」といった具体的な指標はありません。

だからこそ23の質問をもとに、「これはユーザーファーストか?」と常に疑い続ける姿勢が大事なのです。考え抜いて、アルゴリズムアップデートに一喜一憂することのないコンテンツ作りを心がけましましょう。最後に、本記事がSEOコンテンツを制作する方々の参考になれば幸いです。