少年コミック誌の「現代版」部数増の条件はこれだ

出版不況のあおりを受けて部数を軒並み減らしている少年コミック誌。それでも「週刊少年ジャンプ」「月刊コロコロコミック」に限れば部数を伸ばした年もあり、ヒット作に恵まれれば部数を増やせることもわかってきました。ただ、ヒット作に依存しては部数は伸びません。主要コミック誌の部数推移を見ながら、少年コミック誌の生き残り策を探ります。

週刊少年ジャンプは2009〜11年に部数増を達成

2015年12月現在、日本雑誌協会は2008〜15の8年間の印刷証明付き発行部数を公表しています。このうち、週刊少年ジャンプ、週刊少年サンデーの部数の推移をみます。

図1:週刊少年ジャンプの部数推移(2008〜15年)

151224■マガジンジャンプ

2008年時点で両者の差は107万部でした。ジャンプは図1ー①で示したように2009、10年には部数を1四半期当たり数万部も伸ばしています。2014年に入り図1ー②とガクッと落ちましたが、2015年7〜9月期ではマガジンとの差を126万部に広げて業界第1位の地位を確固たるものにしています。

09年連載開始の「バクマン。」「黒子のバスケ」が部数押し上げに貢献

両マンガとも2009年に連載を開始。「バクマン。」は全20巻で累計1500万部、「黒子のバスケ」全30巻で累計3000万部を達成。それぞれ映画やテレビアニメ化などメディアミックスを成功させています。

月刊少年コロコロは14年にV字回復

月刊少年コロコロはどうでしょうか。週刊サンデー、週刊マガジンの部数の推移とともに見てみましょう。

図2:月刊少年コロコロの部数推移(2008〜15年)

151224■コロサンマガjpg

図2ー③でわかるように、月刊コロコロは年によって部数の乱高下が激しいですが、下がりっぱなしでは終わらず部数を伸ばす時期があるのが特徴です。特に13、14年にかけては図2ー④の通り急進。3カ月あたりの合計でみると週刊少年マガジンにも迫る勢いを見せました。少年コミック誌全体が総じて部数を落とす中、コロコロコミックだけは現在もその勢いを保っています。2014年10〜12月期には3カ月で100万部超え。データが残っている08年4〜6月期以降では最も発行部数が高くなりました。
週刊少年マガジンはここ2年間で20万部、週刊少年サンデーは10万部部数を減らしました。この2誌と比べると、月刊コロコロコミックの変化がいかに特殊なものであったのかがわかります。

部数増は「妖怪ウォッチ」の効果か

月刊 コロコロコミック 2015年 01月号 [雑誌]

部数回復は「妖怪ウォッチ」のおかげでしょう。妖怪ウォッチは14年に連載開始。付録にメダルがつくと、売り切れした本屋もあったといいます。付録が雑誌の売れ行きに影響すると言われるファッション誌と同様、少年コミック誌でも人気マンガの付録が効果のあるものだったようです。

それでも、2誌はここ1年部数を減らす

週刊少年ジャンプの部数増に一役買った「バクマン。」は12年、「黒子のバスケ」は15年にそれぞれ連載が終わり、15年1〜3月期は約20万部部数を減らしました。長年ジャンプの売り上げに貢献し続けた「NARUTO」の終了も部数減に拍車をかけたようです。

月刊コロコロコミックも「妖怪ウォッチ」ブームにかげりがみえはじめた15年は前年比30万部減。今後、新たなヒット作にどれだけ恵まれるかがポイントのひとつです。

コロコロ復活へのカギは「ミニ四駆」?

ヒット作のほかにも部数が伸びる要素はありそうです。月間コロコロコミックは子どもたちのホビーに寄り添った雑誌。特にラジコンやミニ四駆は、写真を多く用いて誌面展開したり、関連するマンガもはじめました。

1次ブームは80年代、バギーラジコンが中心のタイプで売り出し、その認知が広がり、90年代の第2次ブームではタイヤをボディで包んだ「フルカウルタイプ」が流行しました。

月刊コロコロコミックもブームとともにミニ四駆の連載をはじめました。1987年には「ダッシュ!四駆郎」、その2年後の94年は「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」も始まりました。2つのマンガ人気にあやかりミニ四駆の全国大会も主催するなど、リアルイベントも開催。子どもたちの流行とともに相乗効果を図りました。88年には80年代最高の月138万部を記録。89年まで100万部を保ち、月刊コロコロコミックは全盛を誇りました。

80〜90年代のブームを楽しんだお父さん世代が子どもと一緒にミニ四駆を楽しんでいることが現在のミニ四駆ブームにつながっているといいます。

1999年まで開催されていたミニ四駆の全国大会「ジャパンカップ」が2012年に復活。老若男女を問わわない広がりを見せています。

まとめ

出版業界と同様、CDの売れ行きも厳しいと聞かれます。ただ握手券を付けて販売し、CDを出すたびに売り上げ100万枚超えを連発するAKB48の例もあります。
リアルイベントと物販で相乗効果を生み出す手法が今の主流で、少年コミック誌にも同様の取り組みが求められているのではないでしょうか。

月刊コロコロコミックの強みは「リアルな読者との交流」。コロコロの成長を見守ってきたライターの渋谷直角さんも著書の「定本 コロコロ爆伝!!1977ー2009」まえがきでこう述べています。
定本コロコロ爆伝!! 1977-2009 ~ 「コロコロコミック」全史

「コロコロ」は「読んでいた」というよりも、「参加していた」という言葉がいちばんしっくりくるのだ。

「参加型」のコミック誌づくりの伝統を受け継ぐ月刊コロコロコミック。そのノウハウを生かした復活に期待したいですね。